今回は「バイクの教習で教わることは無意味!?」というテーマでお話していきます。
バイクの教習ではスラロームや一本橋など、公道ではあり得ないようなシチュエーションでの練習を何時間もかけて行います。
その上、指導員からああしろこうしろと様々な指導をされるので
こんな練習してホンマに意味あるんかい!誰がこんな道通んねん!
と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと意味は大いにあるのですが、意味づけがしっかりできていないと教習所に通っているときだけではなく公道に出てからも苦労することになるので、今回は教習所で教わる内容の意味や公道での役立て方について解説していきたいと思います。
それぞれの試験課題のコツについては僕のYouTubeチャンネルで詳しく解説しているので、興味のある方はそれぞれの解説の後にリンクを貼っているのでチェックしてみてください。
①一本橋
1つ目は一本橋です。
一本橋は長さ15m、高さ5cm、幅30cmの平均台を渡るという、公道ではまずあり得ないシチュエーションで練習することから
街中にこんな道あっても危ないから通りませんし…
と失敗が多くても半分諦め状態になってしまう人が多いです。
確かに公道では平均台を渡るようなことはまずないですが、一本橋の規定タイムをクリアするための速度、普通自動二輪であれば約10km/h、大型自動二輪であれば約5km/hのような低速で走行することは公道でもあっても当たり前のようにあります。
例えば渋滞に巻き込まれた場合は亀のような速度で前方の車両に追従することになりますし、街中では通常の発進時も走り出しはかなりの低速ですよね。
その際に毎度のように30cm以上もふらついてしまうというのは、低速時にバランスを保つ技術が身に付いているとは言えません。
バランスを保つ技術が身に付いていないということは低速時に転倒するリスクが高いとも言えますし、走行位置が定まらないというのは周りの車にも悪影響を及ぼしかねません。
また公道では低速走行時に周囲の安全確認を行わないといけないシチュエーションが多々ありますが、バランスを保てない人が十分に安全確認を行うというのは正直難しいと思います。
低速走行時の転倒はライダー自身が事故という認識ではなく、所謂(いわゆる)立ちゴケという認識の仕方をするので世間的には目立たなかったり事故の統計に入らないだけで、転倒の原因として多いのは低速走行時にバランスを保てずに転けるというパターンです。
バイクというのはどうしても速く走るためのテクニックが身に付いている=運転が上手いというイメージを持ってしまいがちですが、公道でバイクを安全かつ快適に楽しみたいのであれば、速く走るためのテクニックよりも一本橋で指導されるテクニックの方が実状としては大切だと思います。
②スラローム
2つ目はスラロームです。
公道ではスラロームのような連続して車体を切り返す、所謂(いわゆる)蛇行運転をすることはヤンキーじゃない限りはありません。
ただスラロームで連続して行なっている動作を分けて考えてみてください。
減速して車体を倒す→加速して車体を起こすという動作はスラロームだけではなく、教習所内でも外周のカーブを曲がっているときや、少し速度調節の仕方は変わりますが交差点の右左折でも当たり前のように行なっているはずです。
要はスラロームは減速して車体を倒す→加速して車体を起こすという動作を1回で終わらせるのではなく、連続して普段よりも素早く行なっているだけということです。
という説明を聞くと
じゃあ何でスラロームでは素早さを求められるん?
と疑問に思う方もいるかもしれないですが、それは素早い切り返しを身に付けてほしいのと、何の加減速もせずに通過しても身に付く技術が少ないからです。
公道では歩行者・自転車・車の飛び出しや落下物があった際に、安全に停止できない場合は回避するという手段をとる必要がありますが、スラロームのタイムが8秒の人と10秒の人ではどちらが素早く回避できる技術を持っているのか答えは明白ですよね。
ちなみに10秒というタイムは特に加減速もせず惰性で走っても出せるタイムな上に、遅すぎるが故に車体を傾けることが難しくなってハンドル操作で曲がることになるので、スラロームで身に付けてほしい技術がほとんど身に付きません。
なのでみきわめの時間や検定時以外では、少し怖いかもしれないですが素早く切り返すという意識を持って練習すべきです。
もちろん大前提として、公道では回避という手段をとらなくて良いように危険予測をすることが大切ですが、予測不能なことも沢山あるので手段の1つとして素早い切り返しというのも習得すべき技術だと思います。
③クランク
3つ目はクランクです。
クランクは一本橋やスラロームと違ってタイム計測がなく派手さもないので、ただ何となく通過しているだけという人も多いかもしれないですが、かなり勿体無いことをしています。
クランクの練習で身に付く技術は、どの試験課題よりも公道で幅広く役立つと言っても過言ではありません。
- Uターン
- 交差点の右左折(徐行)
- 駐車場など敷地内での低速走行
- コンビニやガソリンスタンドへの進入など
クランクのように低速で曲がるシチュエーションを挙げ出すとキリがないですが、僕のYouTubeの動画のコメントを見る限りこれらの行為に苦手意識を持っている方が多いように思います。
ただこれらの行為というのは、クランクさえしっかりと練習していれば簡単に行うことができるようになります。
Uターンについてはクランク以上に曲がることになるので少し難易度は高くなりますが、動作としてはクランクでやっていたことを行なっているだけです。
なのでクランクではタイム計測がないからとパイロンに接触しないことだけを目標にして通過するのではなく、目線・運転姿勢・速度調節を意識して練習すべきです。
個人的に1番練習にならないと思うのは、2速ギアに入れてあとは何の速度調節もせずに惰性で通過するという方法です。
確かにただ通過するだけであればこのような方法でも問題はないですが、積極的に速度調節をするわけでもなく勝手にバイクが走っているだけという状態で曲がる癖がついてしまうと、公道に出てから 99.9%低速で曲がっている最中に転けます。
そしてUターンや段差・坂道での右左折を安定して行うための技術も身に付きません
逆に言えばクランクを入念に練習しておけば、公道で低速走行時に転倒するリスクをかなり下げることができるので、一見地味なクランクの練習も大いに意味があると言えます。
④急制動
4つ目は急制動です。
急制動は他の試験課題よりも速度が速く、教習所内で1番強くブレーキをかけることから、急ブレーキの練習と思っている方が多いですが少し認識が違います。
急ブレーキというのは予想外のブレーキやできるだけ短く停止することを指すのであって、定められた速度・位置・タイミングに合わせて停止するというのは単なる停止です。
またバイクの運転に慣れていない人からすると、40km/hで11m以内に停止するというのはかなり強いブレーキをかけているように思えるかもしれないですが、教習車によって個体差はあるものの5割程度のブレーキで停止することができます。
では急制動は何を目的とした練習なのかと言うと、指定された位置に合わせて安全に停止する練習です。
急制動は11m以内に停止できないと即検定中止になるので、皆さん停止線を越えないように必死にブレーキをかけるのですが、ブレーキが強すぎて停止線のかなり手前で停止する方が非常に多いです。
停止線のかなり手前で停止できているというのは一見すると上手いブレーキをかけられているように見えますが、僕の認識としてはブレーキの加減ができずに無駄に強いブレーキをかけてしまっているだけです。
実際にステップアップのために大型自動二輪の教習を受けに来られている方に「できるだけ停止線に合わせて停止してください 」と指導することがあるのですが、普段からバイクに乗っているのにも関わらず意図せず停止線のかなり手前で停止してしまう人が非常に多いです。
これでは自分がイメージした通りのブレーキをかけられる技術が身に付いているとは言えません。
なので急制動を練習する際はできるだけ停止線に合わせて停止する(検定時以外) 、もっと言うと何回やっても同じブレーキングが行えるように練習しましょう。
まとめ
以上が「バイクの教習で教わることは無意味!?」でした。
教習所では教習時間が限られているのでここまで細かく説明することはできないですが、全ての試験課題にバイクを上手く扱うための基礎が含まれているので無駄なことなど一切ありません。
免許を取得するためだけではなく、しっかりと練習という意識を持って教習を受けるようにしましょう。
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