今回は「立ちゴケしまくるライダーの共通点」というテーマでお話していきます。
僕は教習指導員・ライスク講師・バイク練習場のスタッフとしてたくさんの初心者さんを観てきましたが、低速走行時に転ける所謂立ちゴケをしまくる人の共通点を発見しました。
言い方を変えると記事内で紹介する共通点をなくしていけば、初心者さんでも立ちゴケのリスクを減らすことができるということです。
立ちゴケは低速ではあるものの身も心も、そしてバイクも傷付く事故であることには変わりないので、立ちゴケしまくる人の共通点とそうならないための改善方法を解説していきたいと思います。
①手元を凝視している
1つ目は手元を凝視しているです。
皆さんはバイク以外の乗り物、例えば自転車や車に乗っているとき、そして歩いたり走ったりする際はどこを見て動き出していますか?。
この質問のキモとなるのはどこを見て”動き出す”という点なのですが、ほとんどの方が既に前を見ている状態で動き出していると思います。
下を見ながらペダルを漕いだりアクセルを踏んだり足を蹴り出して、前に進んでからやっと目線を上げるような方はいないですよね。
誰に教わることもなくそのような方法で動き出してしまうと危険な上に、そもそもメリットがないことは誰もが理解していることだと思います。
しかしこれがバイクになると当たり前のように下を見ながら動き出してしまう方が続出します。
それゆえ先の状況が見えずに加減速や曲がるといった行為の全てが急になってしまい、バランスを崩して転けるというのはあるあるです。
では何故バイク以外の乗り物や徒歩では出ないそのような症状がバイクになると出てしまうのか。
それは手元の操作に気を取られるからです。
下を見たまま動き出してしまう癖のある方に「今何を見ながら動き出しましたか?」と質問すると回転数(タコメーター)やクラッチを見ていたという方がかなり多いのですが、残念ながらメーターや手を見たところで各操作の精度は対して変わりません。
むしろここまでの内容でも分かるように下を見ながら発進するのはデメリットの方が多いので、咄嗟の操作を上手く行えない初心者さんこそ目線を上げておいた方が結果的に立ちゴケのリスクを減らすことができます。
回転数を合わせたり運転姿勢をチェックするために手元を見る場合であっても、発進するときには目線を上げてから、自分が行く先の状況を確認してから動き出すという癖付けはしっかりと行なっていきましょう。
②リアブレーキを使っていない
2つ目はリアブレーキを使っていないです。
低速走行時などバランスを崩しやすい状況で制動力の強いフロントブレーキを使うと、余計にバランスを崩してしまうというのは初心者さんでも理解していることだと思います。
何故ならほとんどの方が乗ったことのあるであろう自転車でも同じことが言えるからです。
しかしこれがバイクになると、理解しているのにも関わらずクランクやUターンなどの低速走行時にフロントブレーキを使ってしまって転倒する方がかなり多いです。
不思議な現象のように思えますがこれには明確な原因があって、それはフロントブレーキを使わざるを得ない状況に自ら追い込んでいるからです。
よくバランスに自信のない方は両足をステップから離して走行しますが、無論ステップから足を離すということはリアブレーキを踏むことができません。
そうなると減速停止はフロントブレーキを使うという選択肢しか残っておらず、低速走行時にリアブレーキを微調整するための技術も身に付きません。

でも足出しとかな転けるやん!
と思った方もいるかもしれないですが、僕の経験上 足を出していなかったことが原因で転ける人よりも足を出していることが根本的な原因となって転ける人の方が圧倒的に多いです。
低速走行時によく転けたり転けかける方はそのときのシチュエーションを思い出してみてください。フロントブレーキがトドメとなっていませんか?
足を出していたから転けずに耐えられたという方もいるかとは思いますが、そのときは耐えられたとしても足を出さずに低速走行を行う技術を身に付け根本的な原因を解消しないと一生その不安とリスクは付き纏います。
なのでできる範囲で低速走行時は両足をステップに乗せて積極的にバランスを取ることと、減速停止はリアブレーキで行う習慣をつけるべきだと思います。
③曲がる=車体を傾ける
3つ目は曲がる=車体を傾けるです。
皆さんはバイクで曲がるという行為を行う場合、どのようにして曲がっていますか?
という質問に対して

車体を傾けて曲がっています!
という答えしか出てこない方は立ちゴケのリスクが高いと言えます。
何故ならバイクというのはシチュエーションに応じて曲がり方を変える必要があるからです。
例えば30km/hで峠や街中にあるようなカーブを曲がる場合は、少なからず車体を傾けるという行為は必須であり何も間違ってはいません。
では5km/hでUターンやクランクのように90度に曲がる場合はどうでしょうか。
バイクは速度が出ていないと前に進んで起き上がろうとする力よりも傾いている方向に倒れようとする力の方が強くなるため、卓越したバランス感覚の持ち主であったとしても転倒してしまいます。

そんなん当たり前やろ何言ってんだコイツ
と思ったかもしれないですが、クランクでは5km/程度の速度しか出ていないのにも関わらず当たり前のように車体を傾けて曲がろうとする人が続出します。
実際には街中にクランクはないので交差点の右左折を例に出すと、見通しが悪く歩行者の有無が確認できない場合はいつでも停止できる速度で右左折を開始する必要がありますが、その際に車体を傾けて曲がるとどうなるでしょうか。
ブレーキング技術の高い人であれば歩行者の飛び出しなどがあっても問題なく停止することができるかと思いますが、初心者さんは低速かつ車体が傾いているという条件下でブレーキをかけると十中八九転けてしまいます。
Uターンで転けたことのある方はそのときの状況を思い出してみてください。
大半の方がこの低速・車体を傾ける・ブレーキという3つの条件が揃っていたのではないでしょうか。
ではそのようなシチュエーションではどのようにして曲がれば良いのか。
それは車体を傾けずにハンドル操作で曲がるようにしてください。
ハンドル操作のみで曲がりきれる半径は車種によって異なりますが、低速であればわざわざ車体を傾けなくても曲がることはできます。
そしてハンドル操作で曲がっていれば、万が一ブレーキをかけすぎたとしても車体は直立に近い状態を維持しているので立ちゴケのリスクを減らすこともできます。
もちろん20~30km/hという速度になってくるとハンドル操作だけで曲がることはできないので低速走行時に限った話ではありますが、曲がるという行為は行う場合は無闇矢鱈と車体を傾けるのではなく、ハンドル操作で曲がるという選択肢も持っておくべきかと思います。
ただ公道ではハンドル操作で曲がりたいからと後続車を確認せずに急激に速度を落とすのは危険なので、そういった意味でもシチュエーションに応じた曲がり方をするようにしましょう。
以上が「立ちゴケしまくるライダーの共通点」でした。
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