今回は「バイク初心者がよくやる危険な運転4選」というテーマでお話していきます。
バイクの事故に珍しいものというのはあまりなく、ほとんどの事故は起こるべくして起こっていると言えます。
特に初心者さんが起こす事故については、自ら事故りにいっているようなものが、指導員としての経験上、かなり多いことが分かります。
当然初心者の頃から全てを理解するのは到底無理な話なので仕方のないことではありますが、技術がなくても「こういう運転はしてはいけないんだ!」という知識さえあれば回避できる事故も多いことから、できるだけ早くこのような知識は身に付けるべきです。
なので今回はバイク初心者が無自覚のうちにやってしまいがちな危険な運転について解説していきたいと思います。
①速度の出し過ぎ
1つ目は速度の出し過ぎです。
カーブでは速度を出しすぎると事故るというのは初心者さんでも分かることだと思いますが、何故分かっているのにも関わらずカーブを曲がりきれずに事故を起こしてしまう初心者さんが多いのでしょうか。
それはカーブに対して自分が余裕を持って曲がれる速度を認識できていないからです。
マスツーリングで前を走っているライダーと同じ速度でカーブに進入して事故を起こすというパターンが多いですが、このような事故はまさにカーブに対して自分が余裕を持って曲がれる速度を認識できていないことが主な原因だと言えます。
マスツーリングではついて行かないといけないという焦りからこのような事故を起こしやすいというのもありますが、マスツーリングだからと言って危険な速度であることを認識せずにカーブに進入してしまう人は、ソロツーリングでも事故を起こす可能性が高いです。
ではどうすれば良いのかと言うと
流石にここまで速度落とさんでも曲がれまっせ
と思うような速度でカーブに進入するようにしましょう。
基準としてはカーブを曲がっている最中に必死感がなく、カーブ中にアクセルを回し続けられるような速度です。
これは実際にカーブ中にアクセルを回してくださいと言っているのではなく、速度を上げても大丈夫なのかということを考える余裕があるのかという話しです。
カーブを曲がっているときは曲がることに集中した方が安全なんじゃないの?
と思った方もいるかもしれないですが、公道では曲がることに一点集中しないといけないような速度でカーブに進入すること自体が間違っていると個人的には考えますそしてこのような考える余裕がなければ、自分の運転やバイクの状態を観察しながら運転する余裕もなくなるので、技術向上の妨げにもなってしまいます。
なのでカーブを速く曲がれるようになりたいという気持ちは分かりますが、まずは自分の運転やバイクの状態を観察できるくらい余裕のある速度でカーブを曲がるようにしましょう。
そうすることでカーブをパッと見ただけでも安全に曲がりきれる速度を認識できるようになるだけではなく、カーブをスムーズに曲がれるようにもなると思います。
②急な動作
2つ目は急な動作です。
バイクは急な動作をすると危ない
これは初心者さんでも認識していることだと思いますが、初心者さんは自分が思っている以上に急な動作をしてしまっている傾向にあります。
例えば発進加速時に体が置いていかれるようなアクセルの回し方をしてしまったり、減速停止時に体が前のめりになるようなブレーキのかけ方をしたりと技術的な急な動作もそうですが、進路変更や右左折が急な動作になっていることもあります。
急なアクセルやブレーキはタイヤが滑って単独事故を起こしたり、急な進路変更や右左折は周りの車や歩行者に迷惑をかけるだけではなく接触事故を起こしてしまう原因にもなります。
なので止むを得ず急な動作を行わないといけないようなシチュエーション以外では、全てにおいてなめらかな動作を心掛ける必要があります。
では何故、初心者さんはやってはいけないと分かっていながらも急な動作を行ってしまうのかというと、先の状況が見えておらず急な動作をせざるを得なくなっているからです。
- 急なアクセルやブレーキを避けるためにこれから進む先の状況を観て、どれくらいのアクセルやブレーキで事足りるのか
- 急な進路変更や右左折を避けるために周りの車や歩行者の動きを観て、どのタイミングで動作を行えば良いのか
これらは全て先の状況が見えていないと予測することはできないですし、どれだけ技術の高い人でも予測ができなければ急な動作になってしまうのは同じです。
もちろん技術が未熟だから急な動作を行ってしまうというのも原因の一つとして挙げられますが、根本的な原因は先の状況が見えていないことにある可能性が高いと考えます。
なので技術的なことも大切ですが、まずは事故のリスクを1%でも減らすために先の状況を観て運転することを意識するようにしましょう。
③標識・標示を見ていない
3つ目は標識・標示を見ていないです。
これは初心者さんに限らずバイクの運転に慣れている人でもやりがちなことですが、昨今はスマホナビが普及したことから標識や標示を見ずに運転してしまっている人が多いのではないでしょうか。
僕も初めて走る道ではスマホナビを使用することが多いですが、実はスマホナビは標識や標示が正確に反映されていないものが多いです。
実際によくあるパターンとしては、転回禁止の交差点で転回するように案内したり、一方通行の道路を逆走するように案内することが当たり前のようにあります。
もちろんナビが案内したからといって標識や標示に従わないと違反になりますし、標識や標示には危険を知らせるという役割もあるので、ナビだけを見て運転するというのはかなり危険だと言えます。
例えば転回禁止となっている場所では「そらこんな所で転回したら危ないやろうな」と思うような所が大半ですし、横断歩道の50m手前にはこのような
ひし形の標示がありますが、横断歩道が目視できなくてもひし形の標示があれば「歩行者がいるかもしれないから注意しよう」という心構えができます。
このような標識や標示が知らせてくれる危険を挙げ出すとキリがないですが、リスクの高い乗り物であるバイクにとって危険予測の手助けをしてくれる標識や標示というのはかなり有難い存在です。
もちろんナビでルートを把握するのも危険予測の一環なのでナビに頼るのは決して悪いことではないです。
しかし道は間違えても簡単に修正することができますが、事故や違反は修正することはできません。
なので安全と円滑な交通のためにも、しっかりと標識や標示を見て運転するようにしましょう。
ちなみにこのような
ナビに従わずに通行するように注意を促す標識があるくらいなので ナビを過信しすぎるというのは思っているよりも大きな問題になっているのかもしれません。
④体が力んでいる
4つ目は体が力んでいるです。
初心者さんは恐怖心や不慣れから体が力んでしまうことが多いですが、バイクというのは乗っている人間が力を加えすぎるとかなりの悪影響を及ぼします。
よくあるパターンとしてはハンドルにしがみついてしまうというものですが、ハンドルに力を加えすぎると車体が傾いた方向に自然とハンドルが切れるという特性のセルフステアを止めてしまうことになるので、曲がるという動作に無理が出てしまいます。
また体全体に柔軟性がないと、段差を越えたりブレーキをかけた際に生じる衝撃を逃がすことができないので、体とバイクの安定性を損なってしまいます。
イメージとしてはジャンプして膝を伸ばしきった状態で着地しているのと同じで、着地の際は膝を柔軟に動かして衝撃を逃がさないと体全体に物凄い衝撃が伝わりますよね。
このような状態では体が安定しないのはもちろんのこと、初心者さんが体感することは難しいかもしれないですが、サスペンションというバネのようなものが段差を越えるたびに過度に跳ねたり、タイヤの挙動が安定しなくなってしまいます。
運転操作には慣れたけど何故か安定していないように感じるという方は、このような状態になってしまっている可能性が高いです。
なので技術云々の前に、まずは良い意味でリラックスして体を力まないことを意識するようにしましょう。
じゃあ下半身に力を入れるニーグリップはどうなんの?
と思った方もいるかもしれないですが、確かに過度なニーグリップは体の柔軟性という点において悪影響を及ぼす可能性があります。
ただ公道で行うようなニーグリップはあくまでも
- 車体のふらつきを抑える
- 上半身を脱力しても体が振られないようにする
というのが主な目的なので、膝や股関節をガッチリ固めるようなニーグリップはそもそも必要ありません。
シチュエーションによって適正な力加減は変わってくるので一概にこれくらいの力加減で、とは言えないですが、体やバイクの動きを邪魔することなくニーグリップの効果を得られているのか、という事を意識して運転すれば徐々に自分にとっての正解が見えてくると思います。
まとめ
以上が「バイク初心者がよくやる危険な運転4選」でした。
これら四つは技術が未熟でも意識さえすれば改善できるので、何となく街中を走行しているときでも意識をして、無意識に落とし込めるように頑張っていきましょう。
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