今回は「バイクで下り坂カーブを上手く曲がるコツ4選」というテーマでお話していきます。
マッスルバイクちゃんねるのTwitterアカウントで「バイクの下りカーブに苦手意識を持ったことは?」というアンケートを行った結果、回答に協力してくださった方(862人)の約8割が「ある」と回答されました。
このように下りカーブに対して苦手意識を持っている方というのはかなり多いのですが、下りカーブをおっかなびっくり曲がるというのは、バイクの楽しさが半減するどころか事故の原因にもなってしまうので、今すぐにでも克服すべきです。
なので今回は下りカーブを快適かつ安全に曲がるためのコツについて解説していきたいと思います。
①ニーグリップ
まず1つ目はニーグリップです。
バイクを上手く扱うためには膝で車体を挟むニーグリップが大切という話を一度は聞いたことがあるかと思いますが、下りカーブにおいてもニーグリップは意識すべきです。
何故なら下り坂では人車共に姿勢が前のめりになるからです。
まず乗っている人間が前のめりになると、ハンドルに体重をかける状態になってしまうので、セルフステアというバイクが傾いた方向に自然とハンドルが切れようとする特性を邪魔してしまいます。
その結果、必要以上にバイクを傾けたり力ずくでハンドルを切ろうとしたり、曲がれないという恐怖心から更にハンドルにしがみついてしまったりと、自分から曲がりづらく危険な状況に追い込んでしまうことになります。
そして下り坂では乗っている人間だけではなく車体も前のめりになるので、かなり大げさな表現をすると後輪タイヤが浮いている状態になります。
実際にはジャックナイフのように後輪タイヤが地面から離れているわけではないですが、平坦な道と比べると下り坂では後輪タイヤが地面を掴もうとする力(グリップ力)は低下してしまいます。
その上、乗っている人間が前のめりになって後輪タイヤの荷重を抜いてしまうというのは、いつ転けてもおかしくない状態と言えます。
なので前のめりになろうとする体を下半身で支えてやる必要があるのですが、ニーグリップが甘いと腕で体を支えようとしてしまうので、下りカーブではいつもよりもやや強めに車体を挟む意識が大切になります。
ただ下半身と言えど無闇矢鱈(むやみやたら)と力を入れると全身の硬直に繋がってしまうので、あくまでも姿勢維持に必要な力でニーグリップを行うようにしましょう。
ちなみにニーグリップは膝だけではなく太ももでもふくらはぎでもくるぶしでも、下半身で車体をホールドすれば同じ効果を得ることができるので、バイクや体格に合った方法を見つけるようにしてください。
②着座位置
2つ目は着座位置です。
通常時は何となく運転操作がしやすい位置・バランスの取りやすい位置に座っている人が大半だと思いますが、下り坂では意識的に着座位置を後ろにずらすべきだと考えます。
何故なら一つ前の内容と理由は同じで、下り坂では人車共に前のめりになるからです。
下りカーブが怖いと感じる理由の一つとして、平坦な道でのカーブとはバイクの状態が変わるからというのが挙げられます。
正直バイクの運転に慣れていない人がタイヤやサスペンションの状態を把握して
いつもの状態と違うから怖いんだ!
と自覚するのは難しいと思います。
しかし理由は分からないけど何となく怖いと思うようなときは、バイクに限らずですが”いつもと違う”ことが原因になっていることが多いです。
なので平坦なカーブでも下りカーブでもバイクの状態が全く同じ、とまではいかなくても、できるだけ差異のないような状態を保つために、着座位置を後ろにずらして前輪側に荷重がかかりすぎないようにするというのも大切だと思います。
アクセルやブレーキでタイヤの状態やサスペンションの挙動を積極的に変化させられるような人であれば、わざわざ着座位置をずらす必要はないですが、確実に効果のあるテクニックではあるので手段の一つとして覚えておいてください。
ただ着座位置を後ろにずらすというのも”いつもと違う”状態なので、恐怖を感じる原因になることもあります。
なので試してみて逆効果になるようであれば着座位置を後ろにずらして積極的に後輪側に体重を乗せることよりも、着座位置はそのままで前輪側に体重が乗りすぎないようにすることを意識するようにしましょう。
ちなみに着座位置を後ろにずらすとバイクの傾き方がクイックになって危ないからむしろ前側に座った方が良いという意見もあるのですが、前後どちらにもメリットデメリットはあるので自分に合った着座位置を探ってみてください。
③リアブレーキ
3つ目はリアブレーキです。
下り坂での減速は必ず前輪ブレーキだけではなく、後輪ブレーキも使うようにしましょう。
何故なら前輪ブレーキだけを操作すると、余計に車体が前のめりになるからです。
これまでの内容でもお話している通り、下り坂では嫌でも車体が前のめりになるので、いかに前後の偏りをなくすかが肝になります。
なので前輪ブレーキだけで減速が事足りる場合であっても、後輪ブレーキをかければ後輪タイヤを地面に押し付けようとする力が働くので、バイクの姿勢制御という意味も込めて後輪ブレーキは使うべきです。
そうすることで下り坂でも前輪側だけが極端に沈むことなく、車体全体を沈ませることができます。
また下りカーブを曲がっている最中も後輪ブレーキを軽くかけ続けることによって、後輪タイヤが滑りにくい状態を作ったり速度の微調節がしやすくなるので、より安定した走行が可能になります。
そしてかなり細かいポイントにはなりますが、前後ブレーキを操作する際は同時にかけるよりも後輪ブレーキを先にかけた方が、より車体の挙動と制動力が安定した状態でのブレーキングを行うことができます。
後輪ブレーキを先にかけるといっても0.1秒程度の差があれば効果は得られるので、気持ち早めにかけるかな〜くらいで試してみてください。
効果を体感するのは難しいですが、実際に教習所の急制動では後輪ブレーキを先にかけるように指導すると、途端にブレーキングが安定する人も少なくないので試す価値はあると思います。
④ギアの選択
4つ目はギアの選択です。
カーブを曲がる際は速度やシチュエーションに見合ったギアを選択する必要がありますが、下りカーブではいつもと同じ感じでギアを選択してしまうと失敗する可能性があります。
例えば平坦なカーブを3速40km/hで快適に曲がれるとします。
それが下りカーブになると、速度やカーブの角度が全く同じであっても3速が適切とは言い切れません。
理由は言わずもがな下りカーブは平坦なカーブとは違って、ギアが高くエンジンブレーキが弱いと勝手に加速してしまうからです。
カーブを安全に曲がるためには自分がイメージした通りの速度で曲がることが大切になります。
基本的にはカーブ進入前に速度の調節というのは終わらせておくべきなのですが、下りカーブではギアが高過ぎるとせっかくイメージ通りの速度まで減速したのに、曲がっている最中に意図せず速度が上がるという、かなり危険な状態になってしまいます。
なのでケースバイケースではありますが、下りカーブでは下りということ以外条件が同じであっても、平坦なカーブよりも低いギアを選択するようにしてください。
ただギアが低過ぎると今度は失速しすぎたりアクセルワークがシビアになったりと、バイクの扱いが難しくなることもあるので、何速に入っているどうこうではなく、減速しすぎず加速しすぎないギアを見つけられるように練習していきましょう。
まとめ
以上が「バイクで下り坂カーブを上手く曲がるコツ4選」でした。
このように下りカーブを上手く曲がるためには、下りカーブ用のテクニックというのが必要になってきます。
慣れれば意識せずともこのような運転ができるようになるので、下りカーブに苦手意識のある方はぜひ試してみてください。
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