皆さんは教習所に通っていて「こんなことして実際の街中で役立つの?」って思ったことはないですか?
僕が生徒として教習所に通っていたときはめちゃくちゃ思ってました。
スラロームは何秒で通過しなさいとかクランクはこうやって通過しなさいと言われても「街中でこんな道ないやろ」と思いながら渋々練習してました。
そんな文句を言いながら教習を受けていた僕も今や教官として生徒さんに指導させてもらっていますが、この手の質問はよくされます。
この記事を見ている方もそう思っている方が多いと思うので、今回は教習所で教わることは街中でどう役立つのかというテーマでお話していきたいと思います。
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スラローム
スラロームは等間隔に設置されたパイロンに接触せずに規定のタイム内で通過するという課題です。
街中でスラロームのような動きをしているのはブンブンしてる人たちくらいですね。
真っ当な人であればあんな動きを街中ですることはあり得ないと思います。
では何故スラロームを練習しないといけないのかと言うと素早くバイクを傾けて素早くバイクを起こせるようになるためです。
例えば街中を走行しているときに人や車が飛び出してきて 停まるのが無理な場合は避けるしかないですよね。
スラロームが遅い人というのはバイクを傾けて起こすまでに時間がかかっているので街中でいうと、避けきれずにぶつかっているもしくは避けた方向に突っ込んでいって単独事故を起こしているというわけです。
なのでスラロームを練習することは街中での事故を減らすことに繋がります。
そしてスラロームを練習するときに指導される下半身でバイクを傾ける・アクセルを回してバイクを起こす・上半身の力は抜くといった動作はバイクに乗る上で基本中の基本になります。
これができていないと普通のカーブも安全かつ速く曲がることができないのでライダーとしてスラロームで練習する技術は最低限身につける必要があります。
クランク
ぶっちゃけ街中でクランクのような道はまずないです。
そもそもクランクのような道があったとしても、わざわざそんな道を通る人はいないですよね。
では何故クランクを練習しないといけないのかと言うと低速で安定して曲がれるようになるためです。
教習所のクランクは90度に曲がっていますが、街中でクランクと同じように90度に曲がる場所というと交差点ですね。
確実に安全な場合はクランクのような低速で交差点を曲がることはないと思うんですけど、歩行者や優先車がいる場合は停止もしくは減速することになります。
その低速で交差点を曲がっているときにバランスを崩して転倒してしまわないために低速で曲がる技術を身につける必要があります。
街中では低速で曲がらないといけない状況だと大体の方が足をついてバランスを取ると思うんですけど、シート高の高いバイクだと足をつくのも一苦労という人も少なくないと思います。
なので身長が低い方や片足でバイクを支えられる自信がない方はクランクをしっかり練習することをオススメします。
一本橋
一本橋もクランクと同じようにそもそも街中に幅が30cmの道なんてないですし、あったとしてもそんな所通らないと思います。
では何故一本橋を練習しないといけないのかと言うと低速でバランスを取れるようになるためです。
街中で転倒する人というのは意外にも低速時に転けてしまうパターンが多いです。
二輪車は速い速度で走っているときよりも遅い速度で走っているときの方が安定しないので、バランスを取るテクニックが必要となります。
先ほども言ったように幅が30cmの道を通ることはまずないと思うんですけど、街中の路面は教習所の一本橋と違って凸凹になっていたり坂になっている可能性があります。
教習所のような路面が綺麗な所でバランスを取れない人は当然街中の凸凹した道ではさらにバランスを崩す可能性が高くなってしまいます。
なので一本橋を規定のタイムでバランスを崩さず通過するのは街中に出るための最低条件とも言えます。
あとはあまりオススメはしないですけど、街中に出たら大体の人がすり抜けをすると思います。
すり抜けをするときは狭い所を通らないといけない上に道路の左側もしくは右側は路面の状況が悪い可能性が高いです。
すり抜け中にバランスを崩すと他の車に当たってしまったり、最悪の場合転倒して後続車に轢かれることになります。
道路の端を低速で走行するのはこのようなリスクがあるというのも覚えておいてください。
S字
S字に関しては他の課題と違って街中でもあり得るシチュエーションですね。
S字の練習目的に関しては滑らかにカーブを曲がれるようになるためです。
滑らかにカーブを曲がるためにやるべきことが2つあって、それは目線とライン取りです
バイクは基本的に乗っている人間が見ている方向に進もうとするのでS字に設置してあるパイロンを見てしまったり、怖さから目線を下に向けてしまうと思った通りに曲がることができません。
さらに目線が先に向いていないと自分がどこを通れば安全かつスムーズにカーブを曲がれるかが分からなくなるので、どこを通れば良いか見る所謂ライン取りが重要になってきます。
1つのカーブを曲がるだけなら簡単なんですけど連続したカーブを曲がるときは目線とライン取りの難易度は上がるので、S字でその練習をする必要があります。
S字は規定のタイムなどがないので適当に何となく通過する人が多いと思うんですけど、他の課題と違ってS字で使うテクニックは街中で多用することになるのでしっかり意識して練習するようにしてください。
急制動
よく急制動を練習しているときに「こんな急ブレーキ街中でかけたら危ないやん」とおっしゃる方がいるんですけど、急制動は急ブレーキの練習をしているわけではないです。
急制動の練習目的に関しては安全に停止できるようになるためです。
急制動は構造的に急ブレーキをかけなくても停止できるように設計されているので、急ブレーキっぽいブレーキをかけないと停止できない人はそもそもやり方を間違えている可能性が高いです。
例えばエンジンブレーキを使っていなかったり、ブレーキのかけ具合を間違えていたり速度調節ができていなかったりと原因はたくさんあります。
これらのミスが生じると規定のラインを超えてしまうので卒検であれば一発アウトです。
街中でいうと規定のラインを超えるというのは前方の車に追突したり崖に突っ込んでいってるのと同じです。
逆に規定のラインよりだいぶ手前で停止してしまう人もいるんですけどこれも失敗のうちの1つです。
街中でいうとムダに急ブレーキをかけている状態なので後続車に追突されたりタイヤがロックして転倒する可能性があります。
急制動を練習しているときに規定のラインから大幅にズレたり、タイヤがロックしたり転倒をしたことがある方は街中でブレーキによるミスで事故を起こす可能性が高いということを覚えておいてください。
波状路
波状路は大型二輪の課題で凸凹道を規定のタイムで通過するというものです。
他の課題と圧倒的に違うところがシートに座らず立っている状態で行う点ですね。
立っている状態で運転をするのはオフロードバイクやトライアルバイクに乗る人くらいで、普通に街中を走るだけなら座って運転することがほとんどです。
ではなぜ波状路を練習しないといけないのかというとより高度なバランスと速度の調節を身につけるためです。
大型バイクは中型バイクよりも車体が大きい分、低速でのバランスが取りにくくなります。
さらに大型バイクはパワーが有り余っているのでちょっとしたアクセルとクラッチのミスで暴走してしまう可能性が非常に高い乗り物です。
なのであえて悪路を立って練習することでさらに高度なバランス修正と速度調節を身につけるのが目的です。
波状路に関しては街中でやるやらない云々よりも「中型バイクよりも運転が難しい大型バイクに乗りたいのであれば最低限これくらいは通過できないと技術が足りてないですよ」という基準であると覚えておいてください。
法規走行
法規走行とはルールに従って運転することを指します。
おそらくこの法規走行が1番やっていて意味があるのか疑問に思う方が多いのではないでしょうか。
ぶっちゃけ教習所で教わる法規走行は街中でやろうと思ってもできないです。
なぜなら自分が完璧にルールに従って走っていても、街中にはルールに従って走っている人がまずいないので事故に巻き込まれる可能性が高くなるからです。
個人的にはルールを完璧に守って走ることよりもムリをしない程度に街中の流れに乗るのが1番安全だと思っています。
ではなぜ法規走行を練習しないといけないのかというと自分が事故を起こさないためです。
教習所で教わる法規走行は自分が事故を起こさないために必要なものだと僕は思います。
ただ街中に出ると教習所とは違う流れが発生しているので、自分が事故を起こさなくても事故に遭う可能性が出てきます。
なので街中を走行するときは流れに乗ることが重要になってきます。
ルールに従って走行しなくて良いというわけではなく、その場の状況に応じて臨機応変に対応するようにしてください。
基本なくして応用なしといわれるように、臨機応変に対応するためには道路交通法に基づいて作られた法規走行を身につける必要があります。
まとめ
以上が教習所で教わる内容の役立て方でした
このように教習所で教わる内容に役立たないものは1つもないです。
スラロームは街中で人が飛び出してきたときに使える・急制動はブレーキによる事故をなくすために練習する、といったように何が目的で練習しているのか理解することで練習する上で意識すべきことも見えてくると思います。
そして教習所で教わることがしっかり身についていれば自分が事故を起こしたり事故に遭う可能性を下げることもできます。
1つ1つの課題に練習すべき理由が必ずあるので 教習所で教わることがムダに思える方はぜひ参考にしてみてください。
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