今回は「事故に遭いやすいライダーの特徴3選」というテーマでお話していきます。
バイクは便利で楽しい乗り物ですが、他の乗り物に比べると色々な意味でリスクが高く危険な乗り物であることもまた事実です。
なので皆さん日頃から少しでもリスクを減らすために自己研鑽(じこけんさん)に励まれていることだと思いますが、事故に巻き込まれないためには知識や技術だけではなく、公道での”立ち振る舞い”がかなり重要だと個人的には思います。
この立ち振る舞いを間違えると単独事故は防げても所謂(いわゆる)貰い事故を防ぐことは難しくなってしまうので、皆さんがバイクに乗っているときの立ち振る舞いと照らし合わせながら観ていってください。
ただ今回の内容は事故の統計などを基にしたものではなく経験則を基にした内容なので、あくまでも個人の意見として捉えていただけると幸いです。
①優先意識
1つ目は優先意識です。
これは教習所でも教わることですが、公道ではどこから来る車が、何をしている車が優先なのかといった優先順位が定められています。
この優先順位に従うことが安全かつ円滑な交通に繋がるとされているのですが、バイクは優先意識を強く持ちすぎると逆に安全ではない場合があります。
皆さん一度は右直事故という言葉を耳にしたことがあるかと思います。
右直事故とは交差点でよく起こる事故で、交差点を直進しているバイクが対向右折車に轢かれるという事故のことを指します。
右直事故は右折車が直進バイクとの距離や速度を誤認して、衝突してしまうようなタイミングで右折を開始してしまうことが主な原因となっており、わざとやっているわけではないことが多いです。
ただバイクは公道において何かと下に見られることが多いため
バイクは車に道を譲らんかい!
とわざと無茶なタイミングで右折を開始するような人も存在します。
このような色々な意味での誤認が原因でバイクが車に轢かれるという事故は右直事故以外にも沢山あるのですが、他人の誤認を正すことは難しく期待すべきものではないので、自分の運転を変える必要があります。
そこで重要となるのが、自分が優先でも相手に譲れるくらい余裕のある運転をするという心構えです。
一例として挙げた右直事故では、過失割合としては直進車であるバイクが優先であることから、基本的には右折車の過失が大きくなります。
しかし過失割合が〜とかどっちが優先か〜というのは運良く生きていたらできる話であって、いくら自分に過失がないと言えど死んでしまったらおしまいです。
交差点を直進する場合はほとんどの状況で最優先になりますが、最優先だからといって何も注意せずに周りの車が譲ってくれる前提で交差点に進入するのはかなり危険な行為だと思います。
わざとじゃないにしても車やバイクは人間が操縦している以上ミスは発生するもので、自分が加害者になる可能性というのも僕も含めて誰にも否定することはできません。
なので優先順位に従うこと・相手に譲るという意味で優先意識を強く持つことも大切ですが、どちらが優先かではなくどうすれば安全かということを考えて運転するようにしましょう。
②法令厳守
2つ目は法令厳守です。
公道を走行する際は道路交通法を順守することが大前提ですが、残念ながら道路交通法を順守した運転というのはどのような状況においても安全とは言い切れません。
例えば道路沿いのコンビニやスーパーに入る場合、歩道や路側帯を横切ることが大半ですよね。
その際に歩行者が歩道に居る場合は、一時停止をして進路を譲らなければならないというのは誰もが知っていると思います。
しかし本来のルールとしては歩道や路側帯を横切る際は、歩行者の有無に限らず一時停止をし徐行で横切る必要があります。
おそらく歩行者の有無に限らず一時停止をする必要があるということを知らなかったという方もいるかと思いますが、ルールは把握してるけど状況によっては一時停止をせずに横切っているという方も多いのではないでしょうか。
何故そのような人が多いのかと言うと、歩行者がいないのに一時停止をすると後続車に追突される可能性があるからです。
そもそも前方の車両が歩道や路側帯を横切る際に一時停止をする前提で車間距離を保っていない後続車がおかしいのですが、街中には
歩行者おらんしそのまま曲がるやろ!
と減速すらせずギリギリの側方間隔で抜いていく車が当たり前のようにいます。
なので歩道や路側帯を横切る際はミラーで後続車の速度や車間距離を確認して、臨機応変に対応することが大切だと思います。
また既に改正された内容ではありますが、2020年4月1日まで高速道路の加速車線・減速車線の最高速度が60km/hに制限されていたことはご存知でしょうか。
簡単に言うと2020年4月1日までは、100km/hで流れている本車線に60km/h以下で合流しなければならなかったということです。
おそらく改正前から追突防止と円滑な交通を妨げないためにも、できるだけ加速車線内で本車線を走行している車と同じような速度まで加速してから合流していた人が大半だと思いますが、厳密には違反行為に該当するおそれがあったんですよね。
現在は加速車線・減速車線ともに本車線と同じ速度で走行できるように改正されていますが、このような、状況によっては道路交通法を順守するよりも臨機応変に対応した方が安全な場面というのはまだまだ存在します。
もちろんこのような考えを盾に停止するのが面倒だから・目的地に早く到着したいからと利己的な理由で違反行為を行うのは言語道断ですが、自分や他人を守るためにはこういった考えも持っておくべきだと思います。
③一点集中
3つ目は一点集中です。
突然ですが少しマニアックなお話をします。
皆さんは”居付く”という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
”居付く”とは武道でよく使われる言葉で相手と対峙したときに「パンチがくるパンチがくるパンチがくる…」と1つのことに集中しすぎると視野が狭くなり、筋肉がパンチを躱(かわ)したり防御するためだけに動こうとするので、結果体全体の動きが硬くなってしまうというものです。
このような1つのことに集中しすぎて視野が狭くなり体の動きが硬くなるというのは、武道のみならず日常生活でもバイクに乗っていてもよくあることです。
バイクを上手く扱うためには脱力が大切とされていますが、上手く運転しないといけないという運転操作に対する気の居付きが原因で脱力とはかけ離れた動きをしてしまっている可能性があります。
また危険予測も同じで1つの危険に対して集中しすぎると物理的にも思考的にも視野が狭くなり、その他の危険に気付きにくくなることもあります。
これも相手と対峙したときと同じで1つずつ落ち着いて危険をクリアできるような状況なら未だしも、目まぐるしく状況が変化する公道では1つの危険に対して100%の集中力を注いでしまうと次の危険予測が追いつかなくなってしまいます。
なので左ジャブ 右ストレート ローキック タックル なにが来ても柔軟に対応できるようにどこか1点に集中するのではなく、相手をぼんやりと観察するのと同じように、バイクも景色全体を満遍なく観て1つの操作、1つの危険に気が居付かないようにする必要があります。
それって本当に運転に集中できてるの?
と思った方もいるかもしれないですが、分かりやすい例としては教習所です。
僕の経験では卒検よりも教習中の方がパフォーマンスが良かったという方が多いのですが、皆さん教習中よりも卒検の方が集中していたと思います。
なのに何故教習中の方がパフォーマンスが良かったのか、それは良い意味でリラックスできていたからです。
もちろん漫然運転ではいけないですが、何か1つのことに集中しすぎるというのもバイクにおいては弱点になるので、自分の体も含めて全体を観察できるように意識していきましょう。
まとめ
以上が「事故に遭いやすいライダーの特徴3選」でした。
技術的なアドバイスではなく精神的なアドバイスなのであまり面白いものではないですが、安全運転という点においてはかなり重要なポイントになると思うのでぜひ参考にしてみてください。
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