今回は「上達しない人がやりがちなこと3選」というテーマでお話していきます。
初心者の方がバイクを安全かつ快適に楽しむためには、然るべき知識と技術を身に付け、現状維持ではなく上達する必要があります。
そのため皆さん日頃から自己研鑽(じこけんさん)に励まれていることだと思いますが、バイクはどうしても危険を伴うリスクの高い乗り物なので、楽しむことももちろん大切ですが、できるだけ早く上達すべきだと思います。
しかし昔の僕も含めて初心者の方というのは、上達という点において非効率的な乗り方をしてしまいがちです。
なので今回は中々上達しない人の共通点と上達するために意識すべきことについて解説していきたいと思います。
①速く走ろうとしすぎ
1つ目は速く走ろうとしすぎです。
バイクの運転が上手いと聞くとMotoGPライダーのような、華麗に膝を擦りながらカーブを曲がることのできる、所謂(いわゆる)速く走れるライダーをイメージする方が多いのではないでしょうか。
もちろん速く走ることも技術の一つですしMotoGPライダーはどう考えても運転が上手いですが、初心者さんがいきなり速く走ることにフォーカスを当てて練習するのはおすすめしません。
何故なら知識や技術が未熟な方がいきなり速く走ることにフォーカスを当てると、焦りや過度な恐怖心から練習の質が低下してしまうからです。
これはバイクに限らず何に対しても言えることですが、皆さんの趣味や仕事に置き換えて考えてみてください。
知識や技術が未熟な人が基礎の延長でできる練習をすっ飛ばして、応用が必要な難易度の高いことをしようとするのは、上達という点において有効な方法とは言えないのではないでしょうか。
これは至極当然のことで、難易度1の課題をクリアするのに必死な人(初心者)が、難易度10の課題に挑戦しても天才でない限りはクリアすることはできないですし、できたとしても難易度10の課題をクリアするのに必死になって、難易度1.2.3…と順当にいけば学べるはずだった知識と技術の練度が低いままになってしまいます。
そして失敗したり伸び悩んだときに原因がどこにあるのか分からず、結果、近道のようで遠回りをしていたというのはあるあるだと思います。
実際に僕自身も速さに憧れがあり、指導員になる以前は速く走る練習ばかりしていてある程度自信もあったのですが、いざ教習所に就職すると先輩指導員の片手運転にすら追いつけなくて「今まで俺は一体何をしてたんや…」と無力さを痛感したのを今でも覚えています。
もちろんこのような経験が無駄とは思わないですが、初心者さんがいきなり速さを求めるというのも基礎の練度が低いままというのも事故のリスクが高く危険な状態であることには変わりありません。
なのでまずは自分なりに落ち着いて、バイクと体の状態を観察できる程度の速度で走行することをおすすめします。
具体的には
- 狙った走行ラインを走れているのか
- 今バイクや体はどのような状態になっているのか
- 上手く曲がれるときとそうでないときではどのような違いがあるのか
といったことを曲がってる最中に考えられるような速度で走行すべきだと思います。
このような一見遠回りに思えるような地道な積み重ねが全体的な運転の上手さに繋がってくるので、焦らず頑張っていきましょう。
②マスツーリングしすぎ
2つ目はマスツーリングしすぎです。
まず大前提として、複数人でのツーリング、マスツーリング自体を否定するつもりはありません。
ただ初心者さんの上達という点を考えると、マスツーリングばかりするというのはあまりおすすめできません。
ある程度バイクの運転に慣れている人同士 ペースや乗り方が似ている人同士であれば問題ないですが、初心者さんがマスツーリングを行う場合はペースを合わせることに必死になりすぎて、練習という意識を持つのに最適なペースでは走れない可能性があります。
もちろん周りとペースを合わせて走行するというのも、公道を安全に走行するためには必要な技術の一つですし、そもそもソロツーリングであっても周りの車とペースを合わせる必要があります。
しかし決して悪いことではないのですが、マスツーリングでは楽しむこととペースを合わせることが最優先になってしまいがちなので、バイクの運転に慣れていない人ほどその他のことを意識するのが難しくなってしまいます。
また最近ではマスツーリングでペースを合わせないといけないという焦りから、初心者さんがカーブなどで事故を起こすという事例も珍しくないので、バイクの運転に慣れている人が思っている以上にペースを合わせるというのは精神的負担がかかっていることが分かります。
なのでマスツーリングは楽しい、一人で走るのは怖いという気持ちも分かりますし、マスツーリングから学べることもありますが、上達したいという気持ちが強いのであれば、マスツーリングだけではなく自分のペースで走行し、自分の判断で路肩へ避難したり道を変えたりできるようなソロツーリングも行うべきかと思います。
③考えなさすぎ
3つ目は考えなさすぎです。
教習所に通っているときや公道デビューして間もない頃はとにかくバイクに乗って、考えるよりもまずは運転操作に慣れる必要がありますが、ある程度バイクの運転に慣れてくると何となく運転しているだけでは中々上達しません。
何故なら何となく行なっていることは応用が利かないからです。
これは教習所でよくある話しですが、坂道発進が苦手な方は普段の平坦な道での発進を何となく行なっていることが多いです。
逆に坂道発進を初見でも難なくクリアできる方というのは、普段の平坦な道での発進時に”どれくらいアクセルを回してどれくらいクラッチを繋げばどれくらい速度が出てエンストしない”ということを考えて行なっている傾向にあります。
後者のように何となくではなく論理的に考えることができると、成功率が高くなるだけではなく万が一失敗したとしても原因究明が容易になります。
これは坂道発進に限らず何に対しても言えることで、普段からアクセルワークやブレーキなど基礎的な操作を何となく行なっていると、失敗した際に原因が分からず修正が難しくなる上に、成功したとしても何故成功したかが分からず知識や技術として落とし込むのに時間がかかる、この記事で言うところの中々上達しない状態になってしまいます。
もちろん何となくでも上手くこなせる感覚派の人もいるとは思いますが、バイクを安全かつ快適に楽しむためにはムラが少なく確実性の高い技術を身に付けることが大切だと思います。
なのである程度バイクの運転に慣れてきて今以上の技術を身に付けたいという方は、普段から行うような基礎的な技術でもあってもしっかりと練習という意識を持つことをおすすめします。
個人的にはアクセルの回し方やブレーキのかけ方というのはどの速度域・どのレベルの運転においても重要になってくるので、特に意識すべきポイントかと思います。
まとめ
以上が「上達しない人がやりがちなこと3選」でした。
これらのポイントは全てやっていても悪いことではありません。
ただ安全運転という観点から言うと、バイクは楽しむだけで然るべき知識や技術が身に付くほど簡単な乗り物ではないこともまた事実です。
安全かつ快適にバイクに乗れるように上達したいという方は共に頑張っていきましょう。
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