今回は「バイクの運転が下手な人ほどやりがちなこと3選」というテーマでお話していきます。
バイクの運転が下手な人というのは知識や技術が未熟なことから
そんなことしたら逆に危ないし練習にもならんで!?
と思うような、上手い人なら避けるような運転をしがちです。
当然そのような運転をしていると、運転技術が向上しないだけではなく自分や他人を危険な目に遭わせることになってしまいます。
なので今回は指導員としての経験を基に、上手い人ほどやらない下手な人がやりがちなことを厳選して解説していきたいと思います。
①タイヤの暖め方
1つ目はタイヤの暖め方です。
バイクに乗り始めて間もない方からすると、タイヤの暖機というのはあまり聞き馴染みのない言葉かもしれないですが、タイヤは冷えていると本来の性能を発揮できずに滑りやすい状態になってしまうので、冬場は特にエンジンだけではなくタイヤも暖めてやる必要があります。
イメージとしては消しゴムと似たようなもので、消しゴムをずっと擦り続けていると摩擦熱でベタベタしてきますよね。
レースで使用するようなタイヤを履かない限りは消しゴムほどタイヤがベタベタすることはないですが、サラサラのタイヤとベタベタのタイヤではどちらが滑りやすいか答えは明白ですよね。
なので安全に走行するためにはタイヤを暖機する必要があるのですが、街中ではバイクの知識がある人なら絶対にやらないような暖機の仕方をしているライダーを見かけることがあります。
それは蛇行運転ですね。
おそらくサーキットでプロライダーが蛇行運転しているのを見て真似しているのだと思いますが、あれは完全に冷え切っている状態のタイヤを暖機するために行っているのではありません。
サーキットではほとんどの場合、走り出す前にタイヤウォーマーというタイヤを暖めるための装置を使用するので、蛇行運転を行う時点で既にタイヤは暖まっていて、少しでも熱を保持させるために蛇行運転しているだけです。
そもそもタイヤを暖めるために冷えた路面・冷えたタイヤで蛇行運転するというのは非効率的すぎる上にかなり危険なので、バイクの知識がある人なら絶対に避ける行為と言えます。
では公道ではどのようにしてタイヤを暖機すれば良いのかと言うと、加減速でタイヤを地面に押し付けるという意識を持って運転してください。
具体的には加速時はダラダラ加速せずに常識のある範囲内でしっかり加速して、減速時は徐々に前後輪ブレーキを強めてタイヤを潰すようにしましょう。
少し難しく聞こえるかもしれないですが
- 発進時はしっかり加速する
- 減速時はエンジンブレーキだけではなく前後輪ブレーキも積極的に使う
これだけです。
そうすることで摩擦熱が発生しやすくなるだけではなく、タイヤがたわむことによって発生する熱によってタイヤ全体を暖めることができます。
ただタイヤを暖機したいからといって、周りに迷惑がかかるようなシチュエーションで加減速を繰り返したり急な操作をするのは事故にも繋がってしまうのでやめましょう。
②過度なニーグリップ
2つ目は過度なニーグリップです。
ニーグリップとは、膝で車体を挟んでバイクと体の一体感を高めるという、基本的なテクニックの1つです。
教習所でも教わる内容なのでほとんどのライダーが普段から実践しているかと思いますが、ニーグリップについても僕のYouTubeの動画や生放送のコメントを見る限り、少し間違った認識をしている方が多いです。
大まかに分けて2つの勘違いをしている方がいるのですが、まず1つ目は力加減です。
ニーグリップをしているとかなり足が疲れるんですけど…
というコメントをYouTubeにいただくことが多いのですが、そういった方は必要以上の力で車体を挟んでいる可能性が高いです。
膝で車体を挟むといってもそこまで必死に挟む必要はなく、むしろ足に力が入りすぎると股関節の動きが悪くなって、上半身の動きまで硬くなってしまいます。
特にスポーツ経験がないような方は、下半身に思いっきり力を入れると上半身までガチガチになってしまう傾向にあります。
また教習所ではスラローム・一本橋・クランク・八の字・急制動といった、ニーグリップが重要となる課題を連続して行うことから
バイクに乗っているときは常に力強くニーグリップをしないといけないんだ!
と勘違いしてしまう方も多いのですが、そんな疲れるようなことはしなくて大丈夫です。
普通に街中を走行するような場合は軽く膝(太もも)をタンクに当てる程度、Uターン・コーナリング・低速走行時などのバイクや体の動きが大きくなるようなシチュエーションでは、必要に応じた力加減でニーグリップを行うようにしましょう。
必要に応じた力加減というのはライダーやバイクによって変わってくるので明確なアドバイスはできないですが、体とバイクを自然に動かすことのできる力加減を探りながら運転してください。
そして2つ目の勘違いは膝(太もも)です。
ニーグリップという名前がついているので、絶対に膝もしくは太ももで車体を挟まないといけないと思いがちですが、決してそんなことはないです。
バイクと体の一体感を高めて上体を支えられるのであれば、ふくらはぎでもくるぶしでも踵でも問題ありません。
むしろ膝(太もも)で車体を挟むことにこだわり過ぎていると、状況によっては体の動きを邪魔してしまって本末転倒になる可能性もあります。
また膝(太もも)だけではなく下半身全体を使えるようになると疲労軽減にも繋がるので、より快適にバイクを楽しめるようになります。
このようにニーグリップは誰もが知っているような基本的なテクニックではあるものの、上手い人と下手な人では扱い方にこれだけの差があるので、今一度、適切なニーグリップを行えているか確認してみてください。
③低速走行時の速度調節
3つ目は低速走行時の速度調節です。
ある程度バイクの運転には慣れてきたけど、いつまで経っても低速走行が苦手
という方も多いのではないでしょうか。
そういった方は、上手い人が避けるような逆に低速走行が難しくなってしまう速度調節の仕方をしている可能性が高いです。
間違いとしては大まかに分けて2つあって、まず1つ目はアクセルを回していないです。
低速走行時にバランスを崩した際は、速度を上げてやることでバランスを修正するのですが、半クラッチだけで速度を上げようとすると加速力が足りずにバランスの修正が間に合わなくなる可能性があります。
教習所の試験課題であるクランクやUターンでバランスを崩して転ける人の大半は、この速度の上げ遅れが原因です。
また少し難しい話になりますが、バイクというのはアクセルを回して半クラッチを繋ぐと、後輪タイヤが力強く地面に押し付けられるような形になるのでより安定した状態になります。
このタイヤが地面に押し付けられているという感覚を掴むことは難しいですが、バイクの運転が上手い人というのは低速時に限らず99.9%このような特性を利用してバイクの安定感を高めています。
なので低速でそこまで速度が必要ない場合であっても、加速する際は発進時同様、アクセルも回しながら半クラッチで加速するようにしましょう。
そして2つ目の間違いはリアブレーキを使っていないです。
ブレーキと聞くと減速のためだけに使うものという認識の方もいるかもしれないですが、バイクの運転が上手い人は減速が必要ないシチュエーションでもリアブレーキを使うことがあります。
特に低速走行時は、減速が必要なくてもリアブレーキを軽くかけっぱなしにする所謂(いわゆる)リアブレーキを引きずった状態で走行することが多いです。
何故ならリアブレーキをかけるとバイク全体が地面に押し付けられて安定感が増すからです。
イメージとしてはつま先立ちでバランスを取るよりも、しっかりと踵まで地面に足をつけて踏ん張っている方が安定しますよね。
それと同じでバイクもフワフワしているよりも地面にグッと押し付けられている方が安定します。
ただリアブレーキをかけすぎるとベーパーロック現象やフェード現象という、ブレーキが利かなくなる現象が起こる可能性があるので、特に安定させたいような場合にのみ使うようにしてください。
低速でも安定した走行をするための絶対条件と言っても過言ではないので、アクセルやリアブレーキを意識したことがなかったという方はぜひ試してみてください。
まとめ
以上が「バイクの運転が下手な人ほどやりがちなこと3選」でした。
知識面と技術面がごちゃ混ぜになってしまいましたが、この3つは特に勘違いだったり間違えてやってしまっている方が多いポイントです。
バイクの運転が下手なのは決して悪いことではないですが、安全かつ快適にバイクを楽しむためには外せない内容になってくるのでぜひ参考にしてみてください。
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