今回は「運転が上手くなるために辞めるべき習慣3選」というテーマでお話していきます。
バイクに限らずどの分野においてもそうですが、初心者というのは上達の妨げになる習慣付けをしてしまいがちです。
そして中級者・上級者になった頃に間違った習慣だと気づいても中々改善できなかったり
もっと早く気づいていれば効率良く成長できたのに遠回りしてしまった
と後悔するのはもはやあるあるですね。
そんな人を1人でも減らすために、できるだけ被害を抑えるために今回は、運転が上手くなるために辞めるべき習慣について解説していきたいと思います。
①低速走行時にクラッチしか使わない
1つ目は低速走行時にクラッチしか使わないです。
これは教習所に通っておられる生徒さんもよくやってしまうのですが、低速時は速度が必要ないからとアクセルを回さない方が非常に多いです。
確かに速度という観点だけを見ると、クランクや一本橋、公道であれば渋滞やUターンのような低速であれば、クラッチ操作による速度調節だけで事足りる場面もあります。
しかし
- 低速だから
- 速度が必要ないから
とアクセルを回さないというのは、かなりリスクの高い行為になります。
何故なら速度を落とし過ぎてバランスを崩したときのリカバリーが難しくなるからです。
皆さんが教習所に通っておられたときのことを思い出してほしいのですが、クランクや一本橋のような低速走行時にバランスを崩してしまう原因は何だと思いますか?
もしかするとこれ以外の原因もあったかもしれませんが、低速走行時にバランスを崩してしまう主な原因は速度の落とし過ぎです。
いや、そんなこと分かっとるわ
今更何を言ってるんやコイツは
って感じだと思いますが、じゃあ何故分かっているのにも関わらず速度を落とし過ぎてバランスを崩してしまうのでしょうか。
それは2つの意味で加速が間に合っていないからです。
1つはバイクの運転に慣れていない人に限っての話ですが、自分がぎりぎりバランスを取れる速度というのをまだ認識できていないので、バランスを崩して加速をしようとしても気付いたときにはもう手遅れだったというパターン。
そしてもう1つはバイクの運転に慣れている慣れていないに限らず、半クラッチを繋ぐことによる加速ではパワーが足りずに加速が間に合わなかった結果、バランスを崩してしまうというパターン。
要はタイミングと加速力が間に合っていないということです。
もちろん自転車にすら乗ったことのない人や歳を取ってバランス能力が低下した人は、間に合う間に合わない以前にバランスの取り方が原因になってくるのですが、僕の指導員としての経験上、低速走行時にバランスを崩してしまう原因の8割はコレです。
トライアルの選手や一本橋を本気でやっている指導員は、速度がゼロの状態でもバランスを取ることができるので例外ですが、一般的なライダーはどれだけ運転技術が高くても、速度が遅過ぎればバランスを崩すのは当たり前ですよね。
なのでバランスを崩してしまう速度域に入る前に加速する必要があるのですが、先ほどお話したように半クラッチだけでは加速が間に合わない可能性があるので、低速走行時であっても発進と同じようにアクセルを回しながら半クラッチを繋ぐ必要があります。
と聞くと僕のように捻くれている人は
じゃあ半クラによる速度調節だけでバランスを取れる人の方が上手いってことやん
むしろ辞めるべき習慣はアクセルを回すことや!
と思うかもしれませんが、競技をしているような人以外はそんなマニアックな技術を身に付ける必要はありません。
むしろ細かいアクセルワークを行う習慣がなく、ラフなアクセルワークしかできない人の方が下手どころではなく危険です。
なので低速走行時にアクセルを回すのが怖いという気持ちは十分わかりますが、練習しないと技術は身に付かない上に余計危険な目に遭うことになるので、クラッチのみでの速度調節が習慣になってしまっている人は気をつけていきましょう。
②片方のブレーキしか使わない
2つ目は片方のブレーキしか使わないです。
教習所でも公道でも前後ブレーキのどちらかだけで減速停止が事足りる状況というのが多いと思います。
なので急ブレーキ以外は前後ブレーキのどちらかしか使わないという人が多いのですが、これも上手くなるためには辞めるべき習慣だと思います。
何故ならバランスの良いブレーキングが身に付かないのと、ブレーキングによるバイクの挙動を掴めないからです。
よく言われる理想的な前後ブレーキのバランスとしては前輪7割後輪3割というのがありますが、これは制動力を最大限に発揮しつつ転倒のリスクを抑えるためのものです。
なので安全かつスムーズにバイクを走らせたいのであれば、必ず身に付けるべき技術だと思います。
しかしバイクの運転に慣れていない人は
前輪7割後輪3割なんてブレーキの強さがメーターに数値化される訳でもないのに分かるわけないやろ
と仰られるのですが、その通りで白バイ隊員や指導員であってもそんなものは分かりません。
ただこれは白バイ隊員や指導員であっても前輪7割後輪3割のバランスでブレーキはかけられませんというわけではなく、前輪7割後輪3割という数字なんて気にしていないということです。
当然前後ブレーキのどちらかが極端に強すぎると具合が悪いのでバランスは気にしますが、バイクの運転が上手い人でこの数字を追いかけている人なんてまずいないと思います。
ではバイクの運転が上手い人は何を基準に前後ブレーキのバランスを認識しているのかと言うと、バイクの挙動です。
ブレーキを操作するとタイヤの回転が抑えられるだけではなく、サスペンションというバイクの前後についているバネのようなものも伸縮します。
この際のサスペンションの動きについては説明し出すとややこしくなるので今回は省きますが、要はブレーキを操作するとブレーキの機構だけではなくバイク自体も大きく動くということです。
その動きを感じ取ってブレーキの加減・バランスというのを調節していくのですが、当然そのような調節の仕方をするには経験が必要です。
例えば合計5のブレーキをかける場合は、
- 前輪だけで5
- 後輪だけで5
- 前輪2割後輪3割
- 前輪4割後輪1割
など様々な方法がありますが合計が同じでもブレーキのバランスによってバイクの動きというのは大きく変わってきます。
そしてバイクのタイプやライダーの体格によってブレーキ操作によるバイクの挙動というのも大きく変わってくるので、その人がそのバイクで色々なブレーキングを経験するしかないんですよね。
それをしていないと低速時にバイクの挙動が不安定になるようなブレーキ操作を無意識でしてしまったり、急ブレーキのときに最大限に制動力を発揮できるブレーキングができずに事故を起こすという可能性もあります。
なので練習・経験という観点から見ると、面倒臭くても前後ブレーキのどちらかだけで事足りる場合でも、敢えて片方のブレーキしか使わないようなとき以外は前後両方のブレーキを操作して減速停止することをオススメします。
特にバイクに乗り始めて半年~2年といった、ちょっとバイクの運転に慣れてきた人というのは片方ブレーキの習慣が付きがちなので注意していきましょう。
③すぐに足を出す
3つ目はすぐに足を出すです。
今から当たり前のことを言いますが、バイクは車と違ってタイヤが2つしか付いていないので、基本的には自立することができません。
なのでバランスを崩して倒れる前に足を着いて補助してやる必要があるのですが、バイクが倒れるという恐怖心からか足を出すのが明らかに早すぎる人がいます。
もちろん足を出すのが早ければ早いほどバイクが倒れるリスクというのは下げることができるので、その場のことだけを考えると間違ってはいないのですが、バイクの運転が上手くなりたいのであれば辞めるべき習慣の1つになります。
何故なら足を出すのが早すぎるとバランスを取る技術が身に付かないのと、そもそも足を出すとバランスが取れなくなるからです。
バイクで上手くバランスを取るためには運転姿勢が重要になるのですが、ステップから足を離している時点でニーグリップは解除されていますし、ステップという土台がなくなって足の踏ん張りが利かなくなるので運転姿勢は崩れています。
そして早めに足を出す前提でバイクに乗っている人はこのような状況に陥っていることに気付けないのと、停止するかしないか程度の速度域でのニーグリップやステップを使ったバランス修正というのが身に付きません。
なのですぐに足を出してしまうという習慣も改善すべきだと思うのですが、何もギリギリまで足を出すのを我慢しろと言っているわけではなく、まだまだ余裕がある状態からバランスを取ることを放棄して足を出すのは辞めましょうということです。
当然状況によっては早めに足を出した方が安全な場合もあるので臨機応変に対応していただきたいのですが、余裕がある場合は0.1秒でも良いのでいつもより足を出すのを遅らせて、積極的にバランスを取るという意識を持って練習しましょう。
まとめ
以上が「運転が上手くなるために辞めるべき習慣3選」でした。
これらの内容は敢えて行うようなシチュエーションもあるので、絶対にやってはいけないというわけではありません。
しかし習慣というのは無意識のうちに付いてしまうものなので、少しでも運転が上手くなりたいという方は、ぜひこれを機に自分の運転をチェックしてみてください。
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